「Island.3」

「惑星の魚」

ここはどこだろうか。

もう、随分と深く潜ってきたと思う。

息はし辛い、それでも、私は目一杯息を吸う。

微かな空気の震えだけがある。

時々、遠くのほうで小さな光がちかちかと光っては、消えていく。

蛾が、微かな外灯に向かうように、私にも向かうべき小さな光があった。

それは、私の宝物。自分が作り出した、偽物の光。

この光のために、様々なものごとを犠牲にしてきただろう。

それでも、私はこの光のすべてが好きだった。

小さな夢たちは、衛星のように私の周りをくるくると廻りながら、私のこと気にかけ、背中を押してくれていた。

時間が過ぎたら、私は彼らのことも忘れてしまうだろう。

涙が私の目を覆う。目の前の光でさえ、形を持たない単細胞生物のようにぐらぐらと歪んだ。

その時、私は遥か遠くで月を見た。

月の周りで小さな光が微かに光っては消えた。

月は真冬の惑星のように鼓動してみえた。

鼓動が、空気を揺らしているのがわかる。

それは私の微かな光を呼応させ、西日が差す窓のようにオレンジ色に輝いた。

光は進化する細胞のように激しく形を変えながら、最後は小さな鳥になった。

鳥は私のことをじっと見つめる。

私は、自分が生きていることを思い出した。

今までちゃんと息をしてきた。

この深く暗いところで、ひとりだけで。

そして、きっとこれからも。

私は一寸先も見えない底を見据えた。

いつか私も、誰かの星になれるだろうか。

私は静かに目を閉じて、大きく息を吸った。

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